ハチミツとクローバー

前回の日記から、ずいぶん日が空いてしまった。

ひとつ、原稿の依頼をいただいて、私にとってはとても大きな仕事だったので、

年末年始はそれにかかりきりになってしまった。

いまは、編集部に原稿を送り終えて、少しほっとしたところ。

 

マンガについて。

わたしは、ほぼマンガは読まない。少年漫画はまったく、少女漫画もほんの少しだけしか触れてこなかった。

小学生の時、「ちゃお」を読んでいた記憶はあるが

(インフルエンザか何かで学校に行けなかった時、なぜか父が買ってきてくれたのが最初だった気がする)、

単行本を買うほど、何かの作品に入れ込むことはなかった。

 

映画もあまり観ない(動きのない、静謐な感じの映画はわりと好きだ)から、

躍動性・連続性を性質とするものが、そもそもあまり得意ではないのだと思う。

 

唯一、友達に貸してもらって読破した少女漫画が、

ハチミツとクローバー』。

ほぼ全員片思いをしているという、美大生の甘酸っぱい青春模様。

恋愛体質とは程遠い私だけれど、この漫画は大好きだった。

映画も観に行った。

当時、たしか高校生だった私は、森田さんのような人が理想だったから、

森田さん役が伊勢谷友介だったことに納得いかず、

観終わった後に友達と文句を言い合ったことを覚えている。

 

(いまの私は、やっぱり森田さんが好きだけれど、

当時はまったくピンとこなかったキャラクターの良さがわかる。

野宮さんに遠くから車を飛ばして会いに来られたら、たぶんすぐ心が揺らいでしまうし、

竹本くんはかわいい。ひたすらかわいい。)

 

でも、あの映画は本当に音楽が良かった。

サントラを聴くだけで、今でも胸の底がぎゅっと締まって、苦しくて泣きたくなるくらい。

 

「恋に落ちる瞬間」の美しさと切なさ。

私の人生には、なかなか舞い降りてくれない天使の羽。

 

当時の私は、はぐちゃんみたいになりたかった。

ちょっと風変わりで、みんなに愛され、才能にあふれる、永遠の少女

いまの私はもうずいぶん大人になってしまって、天才でも、コロポックルでもなくて。

山田さんや理花さんみたいに強くて綺麗な女性にもなれなくて。

 

でもそろそろ、もう一度、あの瞬間が降りてきてほしいなと思う。

目が合った途端、花びらが舞い散り、心に張りついてとれなくなる、甘くて苦しい瞬間。

「うみと魔法と僕らの日々」を聴きながら、そんな瞬間が訪れる予感を抱えて、今日は眠ろう。